一夜にして
数千万円単位の金が手にできる、
ショービジネスのライトの下で
ユリツキは戦っていく。



「お金なんていらないから
二人で静かに暮らそう?」

「嘘だ。金は必要だ」
ユリツキは言いきった。
さらに続けた。

「優里だって本当は金が目当てだろう?
そもそもぼくと一緒にいる事自体
自分の為だろう?
自分の利益の為だろう?
だからぼくの側にいるんだろう?」

優里は驚きを隠せず
次第にその目に悲しみをためていく。

「そうよ。でも私さえ、
私だけ良ければって思った事は一度もないわ!」

”あなたのせいじゃない”と
告げてくれた者に次は
”あなたがすべてよ”
その言葉を期待したユリツキ。

裏切られたような気分に
ユリツキはその場を去った。


家には帰らなくなる。
(神様との約束だ)と、
稼いだ金の半数以上は
優里に渡して、
残りの金で警察官を護衛につけていた。

だが、
ユリツキが大切にしている人間に
危害を加えようと企む者などは
存在しなかった。

大金とユリツキの強さは
完璧に優里を守っていたのだ。