きみに守られて

「本当だ・・酷いですね」
沈黙の中で絞り出すような声で優里が言った。

ユリツキは一度窓を閉め切り、
親指程度窓を開けて振りかえった。

「大島さんはどうしてそんなに強いの?
まだ十代なのに凄くタフに見えるよ」

「そんなふうにみえますか?」

「こんな事になってまだ一日が過ぎただけなのに
大島さんは至って冷静だ。」

「私、負けるの口惜しい。
私頑張って女優になるんだもん。
だからへこたれて、いられないもん
それに、私の無邪気な人生に
飽きてきた頃だったからちょうど良かった」

”意志さえあれば道はある”そして、

(無邪気な人生に飽きてきた頃・・・)

さらっと言った優里の言葉が
ユリツキの脳裏に残った。
その言葉は何度と無く観た
大島優里のデビュー作の映画
『風、綴り人』で彼女が言った台詞であった。