きみに守られて

肘までドロドロの血染めになった
自分の手をまじまじと見るユリツキ、
指を動かすと鮮血が糸を引く、
自分以外の生暖かい体温を感じる。
「ぼくの・・腕だ」

呟きながら自分の指先から肘までを
舐めるような眼差しで、
右腕、左腕と順番に見る。

采は投げられたのだ。

眼下の皮膚の中を丸々と太った蛭でも暴れているかように
顔面をひきつらせる。
頭部全体に釣針を引っ掛けて吊り上げられている感覚。
後頭部が重くなる。
胃が喉元まで上がってくるかのように
腹がへこみ吐き出す、
吐き気が一向におさまらず
呼吸困難を起こし
涙腺から多量の水分が零れ
膝と指先が異常に震える、
下がらない胃と膨らまない腹を
強引に戻そうとして息を無理やり吸いこむと同時に声を上げた。
はく声でない吸う声は喉をならし人で無く獣でもなく
辺りの散乱した肉片をすべて
飲みこみんでしまうような声だった。

立ち竦んでいた警官隊も
総毛立つ地響きに似たユリツキが放つ音に
ぞっとしながらも自己防衛を奮い立たせ叫ぶ。