「今回、君を送ってみて
結果が最悪なら河元君に
裏の世界を滅ぼしてもらう
つもりでいた。

だがその前に、
一か八か、
賭けてみたんじゃ、
オイラの予想外の、
この子も送り込んでみようとな」

ビーグル犬は大島優里に頭を下げた。

「大島優里、
君にはオイラの思い付きに
付き合せてしまった。
本当に申し訳無い、
オイラも万能ではないのだ、
許してくれ」
ビーグル犬は再び頭を下げた。

「頭なんて、下げなくていいです・・。
教えて下さい!
ユリ兄は・・
ユリツキさんは神様の思惑通りに
結果を出しましたよね、
もうユリツキさんの人生は
ユリツキさんのものですよね?
これからは幸せになれるんですよね?
自由ですよね?」

「そうだな・・
あとは河元君が好きな人生を
選べば良い。
もう苦行のような人生の種は
無くなった。
大島優里よ、安心しなさい」

微かに、微笑む優里。
「そろそろ時間だ。
君から帰りなさい」
神様が優里を進むべき道へと
方向を示した。


優里はユリツキの顔を見つめる。
「ユリ兄、もしかして、
自分の記憶残そうとしていない?」

「どうして?」

「だってなんだかまだ
秘密があるような気がするから・・。」

「大丈夫だよ。気にしすぎだな」

優里の顔は言い知れぬ危機感を
感じている様子だった。
「でもでも!
たとえユリ兄の記憶が残ったとしても、
私の前に現われてね!
必ず教えてね!
二人が生きてきた事を!
わたし絶対思い出すからね。
この気持ち忘れられるわけ無いから!
私はユリツキが好き!
いつまでも大好きだからね!
神様より私を信じてね!」

「うん、ありがとう」
ユリツキは最高の笑顔を見せる。

「そうだ、ねぇ!
この後私とすれ違うよね?
髪型どうしょうか?
私、どんな髪型にしてればいい?」