きみに守られて

二人はただ街中で立ち止まって
会話を楽しむカップルの容姿で
街角に溶け込んでいた。

朝から緊張で口数が少なかった優里は、
その分の元気を取り戻したかのように
話しを弾ませていた。

すると、風が止み、時が止まる。
まるで呼吸のための動きでさえ、
罰の対象に成る程に、
何もかもが止まる。

そして良心を試すかのような静寂に
包まれる。
経験済みのユリツキは
「ユリ、来たよ・・」

優里の肩をとっさに引き寄せる。
優里を抱えて逃げ出したい気分に
襲われた。

「お久しぶり~元気だったぁ~」
完璧に軽薄な悪ノリで
ビーグル犬が、現われる。

「あ!ホントーだ!
ビーグル犬だ!
神様だーへぇ~あ!
始めまして大島優里ですっ!」

「いや~いやー
オイラのせいで君に迷惑かけたね、
すまんの~」

「別に気にしていません、
その代わり頼みがあります!
ユリ兄の記憶より
私の記憶を残してください!
お願いします!」
唐突に勢い良く神様に注文する優里。

「そうかそうか、河元君も
それで良いのだな?」

ビーグル犬はユリツキの目を
見据えながら、近づいてきた。
「はい、お願いします」

「よし、わかった。
君の記憶を残す」

「本当に?約束ですよ」

神様は犬らしいだらしない舌を
そのままに、ペコペコと頭を縦に振る。