きみに守られて


優しくもあり、
親切であり、
悲しくもあり、
不親切な、
問いかけだった。

「俺は正樹ならいいと思うし、
ユリを一生幸せに出来る男は
正樹しかいないと断言できる。

こんな形で、
俺が先にユリと会ったから
今はこうだけど、
表の世界では、
正樹が先に会っているんだぜ」

「表の俺なんてどうでもいいだ。
今のお前達が、
ここの世界の俺は大事なんだ。

頼む、
ありとあらゆる努力をしてくれ。
優里ちゃんを幸せにする為に
表の俺を利用してくれ。
奪い取ってくれ!な?
俺の願いを受け入れてくれよ。
お前が元の世界に戻って
記憶が残るように、
俺もこの世界で
ユリツキたちとの思い出を、
死ぬまで大切に
記憶していくんだから。
住む世界が違って、
二度と会えなくても、
お前は俺の親友だ。
俺とお前だけが、
この奇妙な物語を
知っているんだ、
約束してくれ・・
今ここに居る、この俺を。
そうだ、俺が俺に手紙を
書いてもいい。
その手紙を表の俺に
渡せばいい」
刺すような厳しい語気から
次第に感極まる程の声へと
沈んでいった。

まるで親友に対し
身を削り減らしても良いという、
勇気が正樹に見える。

「解った、約束する、
努力もする。
戻った世界の原田正樹とも
無二の親友になる。
正樹とのこの世界での思い出も、
しっかり胸に抱いて生きる。
俺とお前、ユリ、正樹の家族全部、
全部大切にする」

正樹は根限りの笑顔で
脇の下をカリカリ掻いた。

「俺はお前の女の為に
利用されるのか。
しょうがないなあ~、
まぁ~こんな俺でも役にたつのなら
二束三文で手紙書いてやるよ」
機嫌良く、面倒くさそうに言い
笑った。

つりを止めた二人は、
夏の少年のように、
残り少ない時間を大いに楽しむ。

一生涯分の想いを、
一年分の想いを、
一日で繕うがの如く、
儚い気持ちを惚けた会話で
誤魔化し、
切ない感情を笑顔に変えていた。