きみに守られて

ユリツキは非現実を
現実をとして受けいれた。
というべきか、
これから始まる大島優里との世界を
単純に喜んでいた。


あまりにも簡単に
浮かれすぎていた。

　

「それでなワクワクしているところ、
悪いんだけれどよ、
お前の記憶は残るよ」

「何故ですか？！」
（消えたほうが良いのか？
消えない方が良いのか？）
想像すらつかなかった。


「お前は向こう側に
二十二歳までいる。」

そこまで告げて神様は黙った。
なにかを思い出したかのように
うつむいた。
数秒の沈黙が終わり語り始める。


「またここに戻ったら十九歳だ。
二十二歳まで二回目の人生を
記憶が残ったままおくる・・。
それで・・
今以上にあの子を好きかもしれん。
逆に、
二度と会いたくないと
思ってるかもしれん。
そしてオイラは二人の
どちらか一人の記憶しか消せん。
お前が自分で
あの子の記憶を消す事を望んだ、
お前が望んだんだ。
帰ってきたお前の残りの人生・・
大変かもしれんが、
これしかないんじゃ・・」

再度、俯く神様。

「もしかして、
知ってるんですね、
帰ってきたぼくとぼくの人生を？」

「オイラは神様じゃ」

「知っているのですね！」

「良かった・・な」

「なんですか！、
お願いします教えて下さい！」

ビーグル犬は、少し目を泳がせながら

「完璧に敬語になっとるな、お前」
と言いながら排便した。