きみに守られて

井上正樹、六歳、
燃えるような鶏頭の花が
咲き乱れていた季節であった。

正樹が言う。
「食い物が無いってことほど、
悲しいことはないよな」
ユリツキの過去を見てきたような
言葉である。

「いくら不幸でも
満足に食べていけるなら、
それに心から感謝するべきだよな」
とユリツキが応えた。


「俺の今のオヤジも物好きだよ、
一等から三等までの子供を見て周って、
結局決めたのは、
三等の俺なんだからな」

井上から原田に性が変わったが、
正樹が簡単に変わる事態ではない、
施設に入れられ二年がたち、
八歳に成長していたが腕力以外の成長はない。

いきなりあの屋敷に連れてこられた正樹は
狼にでも育てられたような子供で、
野性的な警戒心の固まりであった。