きみに守られて

当り屋始めの頃、
成功率が低かった。

正樹に恐怖心が付きまとったからである。
誰からも教えられた覚えのないその行動は、

幼子一人では無理であった。

仕方なく健治は正樹に付き添い
二人で歩く、
公子のような愛情は無かった。
隙がありそうで、
徐行運転をしている車の背後に近づき、
健治は足でバンパーを蹴る、
隠し持っていたカッターで
健治は正樹の額の傷口を軽く切る。

健治には躊躇という言葉が
見当たらない感じがあった。

治癒力に優れた子供の生命力は
傷を跡形も無く消せたが、
繰り返された凶行に耐えられず、
一生涯消えることない傷跡を作った。

幼い正樹の体は
一人で行動できる術を覚えていった。

健治がいると額を切られる恐れと、
失敗した時に殴られる恐怖心が、
車に当る恐怖に勝利したのである。

その当り屋で正樹が稼いだ金で母、
公子の火葬が行なわれた、が、
公子が眠れる墓は、
正樹の稼ぎでは無理難題であった。