きみに守られて

公子は半べそをかきながら、
ハンカチと鼻紙で血を拭い
着ていた上着を裂き正樹の頭に巻き、
応急種処置をした。

鮮血は見る見るにじんできたが、
零れ落ちることはなかった。

顔面蒼白の運転手は
救急車を呼ぶと健治に言ったが
健治は正樹の顔を一時眺めてから、
行き付けの病院があるから
そこへ連れて行くといい、
運転手から有金すべてを巻き上げた。

正樹の記憶にもその場面は残った。

金を受けとった父の姿が
極端に運転手に対して態度が
変わったからである。

現金に喜ぶ父親の姿があったのだ。

「あの、
運転手のおじさん
優しい顔だったんだよな。
俺、おじさんについて行きたかったよ、」