「ユリツキ、
お前記憶を持ったままで
元の世界で生きていけるのか?
もしかしたらユリツキにとって
この世界の思い出は
生き地獄になるんじゃないのか?
優里ちゃんに教えなくていいのか?
一生この世界の思い出を抱いて
生きて行くって・・。
今の優里ちゃんは
俺なんかより何倍も
お前の方が好きだと思うぜ」
「いいんだ・・それでいいんだ・・」
正樹は苦虫でも噛んだような
顔をして無言になった。
二人の間に静かな時間が流れる。
少し開けた窓の隙間から、
夜明けの冷えた棘のような
新鮮な空気が入り込む。
「俺、施設にいたんだ。
施設に入る前は本当の親から
”当り屋”やらされていた」
正樹が吐く息のついでに言った。
ユリツキは顔の表情を変えることなく、
真っ直ぐ正樹を見た。
正樹は微笑しながら話しを続ける。
「昨日、
お前が言った話しへのお返しだ、
俺の話しも黙った聞け」
原田正樹の以前の姓名は
井上正樹といった。
父は健治、母は公子という、
公子という名は
施設に入り
監視員に聞かされ知った名であった。
この世界の養護施設も、
もちろん表の世界と同じく
親が不在の子供、
親に捨てられた子供達が
入寮していた。
しかし管理体制は少年院並であり
一等から三等までの階級があった。
里親が決まるのは殆どが
一等養護施設の子供らであり、
正樹は六歳の頃に
三等養護施設に入れられた。
三等とは犯罪歴がある子供たちの、
言わば刑務所並の隔離施設である。
お前記憶を持ったままで
元の世界で生きていけるのか?
もしかしたらユリツキにとって
この世界の思い出は
生き地獄になるんじゃないのか?
優里ちゃんに教えなくていいのか?
一生この世界の思い出を抱いて
生きて行くって・・。
今の優里ちゃんは
俺なんかより何倍も
お前の方が好きだと思うぜ」
「いいんだ・・それでいいんだ・・」
正樹は苦虫でも噛んだような
顔をして無言になった。
二人の間に静かな時間が流れる。
少し開けた窓の隙間から、
夜明けの冷えた棘のような
新鮮な空気が入り込む。
「俺、施設にいたんだ。
施設に入る前は本当の親から
”当り屋”やらされていた」
正樹が吐く息のついでに言った。
ユリツキは顔の表情を変えることなく、
真っ直ぐ正樹を見た。
正樹は微笑しながら話しを続ける。
「昨日、
お前が言った話しへのお返しだ、
俺の話しも黙った聞け」
原田正樹の以前の姓名は
井上正樹といった。
父は健治、母は公子という、
公子という名は
施設に入り
監視員に聞かされ知った名であった。
この世界の養護施設も、
もちろん表の世界と同じく
親が不在の子供、
親に捨てられた子供達が
入寮していた。
しかし管理体制は少年院並であり
一等から三等までの階級があった。
里親が決まるのは殆どが
一等養護施設の子供らであり、
正樹は六歳の頃に
三等養護施設に入れられた。
三等とは犯罪歴がある子供たちの、
言わば刑務所並の隔離施設である。

