きみに守られて

土手を下り河原を進む。
目指す場所が暗黙の了解を得ると
呼吸までが合う程に
正樹とユリツキは同じ動きをした。

透明度が高い川である。
魚がいそうな流れが緩い所は
深緑で浅瀬は孔雀の羽の緑色だった。


ユリツキはこれまでの経緯を話す。

表と裏の世界がある事、
裏世界の存在理由、
優里との関係。

そして正樹が、

彼女の恋人になる事までを全て語った。

話しをしている内にユリツキは
過去の極貧時代が
なんだか笑い話程度の
面白話に感じてきていた。


正樹は一切の質問もせず、
声を出すこともせず、
真正面から聞いていた。

「凄い話しだな・・
信じがたいよ・・。
お前、本当に寝てないんだな。
俺が生きてる世界は本物じゃないのか。
もっと平和な世界があるのか。
なんか頭が変になりそうだ、
お前がずっとベッドにいた時も
寝てなかったのか。
こっちの世界にきたら
もっと辛かったろ?
そうか・・そうなのか・・・」


正樹は必死に自分を保とうと、
心がけている様子だった。