きみに守られて

与一郎はユリツキを見ていた。
あたたかく深い情に満ちた
眼差しである。

与一郎は豪快な食べっぷりである。
どちらかと言えば下品なほうである。

宏美はただ目を細めて、
久美子が優里に言うでなく、
ユリツキに言うでもなく、
真面目な顔で
「ごめんあそばせ、こんな父で」と
頭を深く下げた。


この日から原田家との
家族ぐるみの触れ合いが始まる。

河元ユリツキ、原田正樹二人の友情は
日を追うよりも早く、
厚く固くなっていく。

唯一、
ユリツキの心に引っかかる事があった、
ユリツキも優里も
この世界の人間では無く、
あと数ヶ月で元の世界に
戻ってしまう事を隠している事が
責めたてた。

ユリツキは考える。
友である犬や猫、
正樹とその家族の為に
この世界を変えられないものかと、
自分が元の世界に帰る日までに、
どうにか彼らがもっと
住み易い世界に出来ないかと、
そのために自分が何か出来ないか、
出来る事がないかと、
願い考え始めていた。