きみに守られて

原田正樹が風呂上りらしく
髪を濡らしたまま部屋へ入ってきた。

正樹がソファーに座ると同時に
久美子は優里の手をとり
客間から出た。

ドアが閉りきらないうちに
二人の女の子は、
はちきれんばかりに笑っていた。

ふざけているのか、
勢いが余っているのか、
壁に二度三度ぶつかっているような音が
廊下から聞こえる。

二人しかいないはずなのに
十人程の人が
廊下を走っているような騒ぎだった。

正樹とユリツキは
目を見合わせ丸くして、
同時に微笑していた。

笑顔を見せ合った二人は、
急速に接近した感覚があった。