トリミングされたばかりのような、
しろ、黒、褐色、
ハウンドカラーの光沢ある体から、
ムチの先っぽに似た
尻尾をはたはたと振り、
軽やかに話す犬がいた。
暗褐色の丸々した潤んだ瞳が
優しそうで愛らしい。

「びびったろ?」
立て続けに喋る犬。

「ありえねぇー」

空を見上げた。
空は時間が止まっていても、
蒼らしく青く、
白らしく白い飛行機雲が
斜めの筋を描いていた。


「まぁしょがねぇけどな、
お前が落ち付くまで
待ってやるよ」
耳を掻きながら言う犬

「落ち付くのかな??」

「でもその先、八十センチ先行くなよ」
犬が注意していた。
何故八十センチなのか、
どういった基準の距離なのか、
疑問に思うが、
結局は
人類誕生の話し位、
果てしなく、難解で、
理解不能だろうと解釈した。