いつもと明らかに違うのに、

いつもと同じように学校へ向かうあたし。



正面から吹いてきたのは、初夏を告げるさわやかな風だった。



"恋の季節" 春 が過ぎたことを

こんなにもすっきりと伝えてしまうのが、


とてつもなく憎らしかった。



いっそのこと、

この風に全てを投げてしまおうか。



憎たらしい風に八つ当たりしようとしたけど、投げられるほどはっきりとした形に出来なくて、



ただ、学校までの道をひたすらゆっくりと歩いた。