「はぁ…。」
高校生になったばかりのアタシは深いため息をつく。高校の中庭で一人寂しく読書。女子は皆、彼氏とイチャイチャ中。アタシの親友の紗江もこの間、彼氏をつくり…。アタシは一人ぼっち…。
「はぁ…。」
アタシは、また、ため息をついた。
バコッ
もの凄い音と一緒に頬に痛みがはしった。
「ったぁぁぁ(痛)」
背後からサッカーボールがとんできて頬に勢いよく当たった。
「バァーカッ!!」
サッカーボールと同時にアイツの声がする。
アイツとはアタシと同じく恋人がいない組の早川涼介。超モテる奴なのに告られては振って告られては振ってを繰り返し……今にいたる。
なんで振るのかは分からないよ。可愛い女のコ達から沢山、告られてんのに…。もったいない。涼介はアタシの幼馴染でいつも一緒にいるんだ。双子みたいなものだね。
「ふざけんじゃないわよっっっ!!」
「お前がそんなトコロで本読んでるからだろ。」
「うっ…。そうだけど…。こんなトコロでサッカーやるほうもどうにかしてるよっっ!!!」
「しょうがねぇーじゃん。ここにしかサッカーゴールねぇし。」
「…でも。」
「だってさ考えてみ?サッカーゴールがあるってことはサッカーしても良いってことだろ?それに大会近いし…。お前だってサッカー部のマネージャーなんだから分かるだろ?」
「…まぁ、そうだけど…。」
「だろ?じゃあ俺、サッカーに戻るから。お前も気をつけろよ。」
「うん。」
全く…本当は部活中だけなのに…中庭でサッカーしていいの。
夏本李乃(←アタシ)16歳。只今彼氏募集中。