「咲良。」
「ん?」
圭はいきなり私の左手の薬指にはめた指輪にキスをする。
圭がくれたペアリング。
圭も今日は私と同じ指輪を左手の薬指にはめていた。
「絶対一緒になろうな、咲良。」
圭…
「うん!」
今日も笑顔でいるよ、私。
泣かない…もん。
泣かない…。
「圭、一人で行くんだ?」
駅に着くと私は圭に聞く。
「ああ。もう親は向こうにいるから。」
「そっか。」
圭の新しく住む所まで3時間くらいはかかる。
遠い…
会いたくても年にほんの数回しか会えない。
けど、
大丈夫。
堪えるよ、私。
「夏休みは戻るから。」
圭が言う。
「うん…」
「電話やメール、毎日する。」
「分かった…」
だめだ、笑顔作れないかも…
「咲良、そんな顔すんな。」
圭は私の頭を撫で、言う。


