「でーきた!けど、うっ…」


「咲良、どうしたの?」


バレンタイン前日、キッチンにこもってるとお母さんが私に聞く。


「チョコ作り直しすぎて匂いに酔った…」


私が言うとお母さんは笑う。


「トリュフに失敗とかあるの?」


「形がね。圭、モテるから良いのあげたいし…」


「圭君は咲良のが1番に決まってるじゃない。」


「…え…」


「愛が1番。」


「そ、そっか…」


圭にあげるの楽しみだなぁ…


「咲良、もう…にやけてるわよ?」


お母さんが言う。


「お、お母さん!」


「咲良ってば恋する乙女ね、本当。お母さんもお父さんと付き合ってた時は…」


「お母さんとお父さんって今でも仲良いよね。」


「長いからね、本当に。お母さん、未だにお父さんに恋してるもん。」


「憧れるなぁ…」


ずっと変わらない気持ち。


「咲良なら大丈夫よ。」


お母さんは笑って言う。


「うん…」