ハナミズキ~先に去ったあいつへ~

お父さんとおれは待合室で待っていた。

待合室で待っていられる気分ではなく、
外来の方に歩いた。

病院の中は真っ暗だった。

受付や外来はやっていなかった。

おれの歩く音が一歩…また一歩響いていた。

なんか広い病院の中におれ一人しかいないよう感覚だった。

休日の病院がこんなに静かだということを初めて知った。

静寂ってこういうことを言うんだと思った。

葵:
「今日は…日曜日か」