ハナミズキ~先に去ったあいつへ~

ただ見ているだけだった。

目の前で苦しんでいるばあちゃんに対して
ただ見ているだけだった。

何も出来ないから目が離せなかった。

何も考えられなかった。

目の前が真っ白で何も考えられなかった。

少しでも押されたら倒れそうなくらい力が抜けて、
立っているのがやっとだった。

葵:
「なんで…?なんで…」

言葉にならなかった…