ハナミズキ~先に去ったあいつへ~

広樹:
「ゆう君が面会にいつも来ているのは知っていたんだけど、
名前を知らなくてね…」

葵:
「…」

広樹:
「1回、うちの姪と遊んだことがあっただろ!?」

葵:
「はい…」

広樹:
「それで、葵、葵って言っていたから葵君に電話したんだ」

葵:

「そーだったんですか…ありがとうございました。」

本当に礼を言いたかった。

もし、ゆうに電話がかかっていたらあいつは一人で行っていたかもしれない。

あの時、広夢の姪と遊んでいなかったらここにおれはいなかった。

たぶん、広夢が最後になんかしてくれたんだな…

とそのときばかりはそう思った。