ハナミズキ~先に去ったあいつへ~

ばあちゃんは、最後の最後までおれのわがまま聞いてくれたんだ…
火葬はあえて出席しなかった。
だから、最後に見たのは最後のお願いの時だけだった。

実家に帰ってきて、
初めて見たばあちゃんは、
小さな箱に入っていた。

遺影の顔は笑っていた。
亡くなる前とは全然違った顔だった。

葵:
「ばあちゃんってこんな顔していたんだ」
入院時のばあちゃんとは違う幸せそうな顔だった。


通夜・葬式が終わって身内だけで最後のお別れをした。

お父さん:
「葵ちょっときなさい」

葵:
「何???」

お父さん:
「今日で最後だからばあちゃんの前で酒を飲もう」

身内8人くらいで仏壇の前に座り飲み始めた。