ハナミズキ~先に去ったあいつへ~

でも、ばあちゃんは反応なかった。

でも、おれは、傍にいてあげたかった。
お母さんが言っていた。
お母さん:
「本当にお父さんと親子だね」

おれのお父さんは公務員で、
ばあちゃんが入院後も毎日、毎日、面会に行っていた。
出勤前と帰りに必ず寄っていたそうだった。

ばあちゃんのベッドの周りには
CDラジカセが置いてあった。
ばあちゃんの好きそうな曲をお父さんが買ってきていた。
ばあちゃんのために果汁の多い果物も買ってきていた。
もちろん、飲める・食べられるわけないけど、
果汁一滴でも味わってもらいたいからと言って
隠れて一滴とか二滴とか口に運んでいたっけ。
その他にもマッサージしたり、
何か病気に効くとかあればいつも買ってきたんだって。