咲はとりあえず駅ビルに向かった。




「残金どのくらいだろ?」




財布を見ると2000円しか入ってなかった。




「2000円かよ~ 何も買えないじゃん」




咲はブツブツと呟いた。




『君 お金ないの?』




「えっ!?」




話かけてきた相手を見ると50代くらいの中年の男だった。




『お小遣いあげようか?』




「はっ? 何言ってんの キモいし」




『俺とご飯行くだけでいいよ 1でどう?』




「はっ?」




『だから俺とご飯行ってくれるだけで1万あげるから 別に援しよって言ってないんだし 体求めてないし あそこの店美味いんだよ』




その男は駅ビルから少し離れた店を指さした。




『そこならいいでしょ どっか連れてく訳じゃないんだから それに2000円しかないんでしょ?』




「はっ?」




『さっきブツブツ言ってたじゃん 1あれば君の買いたい物買えるでしょ? どうする?』




「じゃあ行き……ます」




咲は悩んだ挙げ句、ご飯につき合う事にした。




『じゃあ行こ』




「てか本当にご飯だけだよね?」




『何かしたら会社にでも警察にでも言いつけていいよ』




男は咲に名刺を渡した。




「社長?」




『そう それより行くよ』



男は咲の背を軽く叩き促した。