「…千沙」 どこからともなく聞こえてくる甘い声に、 幸せな気持ちになった。 胸が温かく満たされる。 もう少し… もう少し、このままで… 「千沙」 頬に何かが触れる。 つむった目を、何かがくすぐる。 こそばゆい…。 「…ん…」 あたしは薄目を開けた。 「千沙、おはよう」 ぼやけた視界の先で、 祐輔があたしをのぞき込んでた。 「…祐輔?」 と、そこで一気に頭がクリアになる。 「ああっ」 「おわっ」 あたしは大声をあげながら、とび起きた。