「あ、千沙ちゃん笑ってるし。ヒデェ」


「す、すみません…!」



「それより、早く乗りましょう」


「あ、うん」



とっさに謝ったけど、樋渡さんに促されて、あたしは電車に乗り込んだ。






「…で、なんで樋渡がいるわけ?」



混みあう電車内で、

堀口先輩がため息をつきながら聞いてきた。


先輩はあたしを扉に背を向けて立たせ、

あたしの前に立っている。



あたしに他の男が手を出せないように守ってくれている。



「そりゃあ、あんたから高村さんを守るためよ」


「…ああ?」



樋渡さんは胸の前で腕を組んで、先輩をニラみつけた。


先輩も樋渡さんをにらむ。


というか、すごむ?



とにかく、金髪の先輩がそういう顔をすると、なんだか怖くて…。