「失礼しまーす…」



イケメン金髪の堀口さんが小さな声で言いながら、

体育館の扉をそうっと開けた。


すぐそばに立っていた先生がそれに気づく。



「堀口! おまえ、ヒーローだって?」


「そうそう、痴漢で困ってる女子を助けて…って、

なんで先生が知ってるんすか?」



「警察から連絡きたんだよ。

話聞いてたから、おまえと高村が遅れるってな」


あたしは堀口さんに言いながらこっちを見た先生に、軽く頭を下げようとした。



だけど、


「高村!」

「あ、はい!?」


いきなり呼ばれて、下げかけた頭をすぐに戻す。



辺りを見回すと、前方から小走りで駆け寄ってくるスーツ姿の佐野先生と目があった。



いつもとは違う表情。


怒ってるでも、笑ってるでもなく…。