体を起こし、顔の前に落ちてくる髪の毛を後ろへかきあげた。


そして、左手を見る。



その薬指には、シンプルなプラチナの指輪。



あたしは頬がゆるんだ。



さっきのは夢だけど、これは夢じゃない。


あたし、先生と結婚したんだ。



しばらく幸せをかみしめると、

リングをチェーンに通すため、ベッドサイドに手をのばした。



指先がチェーンに触れる前に、あたしは時計を見て固まった。



「…嘘!」



いつも乗る電車の発車時刻30分前。


15分以内に用意しないと遅刻だ!


今日は始業式なのに…!



「ああ、もう!」



焦りながらチェーンに指輪を通して、首に付けると、

急いで準備を始めた。