「おじいちゃんがあたしの唯一の生きがいだったの。
そのおじいちゃんが居なくなった今、あたしを必要としてくれる人なんて誰もいないの。
悲しむひとなんてだれもいないから」
本当に、これで最後。
これだけ伝えたら…
「でもね、
最後にこれだけ、、、
先生、ありがとうございました。
おじいちゃんは、きっと先生にそう言ってると思います。
患者思いの先生に看取られて、おじいちゃんは幸せだったと思います。
これからも、沢山の患者さんを助けて下さいね」
さようなら、
そう言って、一歩前にでた。
目を瞑り、柵から手を離す。
今からいくね、おじいちゃん、、、
でも、いつまで経っても体に衝撃は伝わってこなかった。
なぜだか温かい。
ゆっくり目を開ける。
目の前は真っ白。
一瞬天国かとも思ったが、体全体を覆う温かさが現実を物語っている。
あたしは、先生に抱きしめられていた…………。

