正直、自分のことなんてどうでも良かった。
どうせ死ぬつもりだし。
とりあえず今は、
一刻も早くおじいちゃんの傍についていてあげたかった。
「もうすっかり良くなりました。
点滴も終わったみたいだし私、家に帰りますね」
なるべく元気そうに見えるように、笑顔でそう言った。
ご迷惑おかけしました、
そう付け加えてベッドを支えていた手に力を加えて起き上がろうとした。
「ちょっと待てよ」
そんな言葉とともに、力が上手く入らなかったあたしの体は、いとも簡単にベッドに戻されてしまった。
「何ですか?」
さっきとは打って変わって冷たくそう言った。
「何が大丈夫だ。
熱がある。
こんな状態で家に帰っても、また倒れるだけだ。
今日は大人しくここで寝てろ」
は?
何なのこの医者。
偉そうな態度。
ムカつく。
悪いけど今のあたしには、自分のことなんてどうでもいいの。
「ホントに大丈夫なんで帰ります」
「ダメだ」
あ~もうっ!!
面倒くさいなこの医者!!

