【短】秘密のサンタクロース

小川はゆっくり立ち上がってそのままどこかへ歩いていった。


…なんで、そんなに怒るの?

そりゃあ、あたし悪い事したのかもね。


…あぁ―。
昨日小林くんと一緒に帰らなければ良かった…。


こんな事になっちゃうなんて…考えてもみなかった。


小川の足音が聞こえなくなって少しずつ不安になってくのがよくわかった。

手がつめたくなっていくのがよくわかる。


行かないでって思ってる。


そばにいてほしいって思ってる。


小川の足音が聞こえなくなってしばらくして、あたしは立ち上がる。

誰もいない廊下。


『小川ぁ~~…』


泣きながらも叫んだ声は静かな廊下に響いたけど。


小川の足音が聞こえてくる気配はなかった。


…寂しい。


あたし、小川がいないと本当にだめだ。