「あれ、三倉じゃん」


誰もいない教室に誰かの声が響いたから勢いよく振り向く。


あ、同じクラスの小林くんだ。
同じ中学校出身だから結構仲もいいし、家も近い。

一瞬小川かと期待した自分へ、馬鹿。


そんなに期待しちゃ期待がやぶれたときもっと落ち込んじゃうじゃん。


「帰らないの?待ってんの?」


『だって、寒いんだもん。待ってはいないよ』


そういうと彼は笑った。
「変わってないな」


あ~、なんだか中学の時みたいだね。

高校に入って同じクラスでもあまり話さなかったし。


「俺さ、いま委員会終わったところ。一緒に帰る?」


『あ~…どうしよ』


でもいくら待ってても外があったかくなるわけではないし、暗くなったらもっと寒くなるし。

帰ろ。


『うん、帰る』


そう言って乗ってた机からピョンと降りて鞄をもって教室を後にした。


「しっかし、久しぶりに話したな。中学以来?」


『ね~。なつかしい。』


他愛もない会話でも楽しかった。