「だって、仕方ないだろ?そこらへんに放っておいたら、保健所に連れて行かれるし、俺には懐いてないし」
蓮はそう言うが、正直こいつを家に置くと考えると、ゾッとした。

言葉をしゃべる猫を飼うなんて・・・。

【千影宅にて】

「結局、置くことになっちゃったな・・・」

はぁ~と大きなため息をつく。

『わしがそんなに好かんか?』

突然猫がしゃべったもんだから、僕は後ろへ大きく後ずさりした。

「や、やっぱりしゃべってたのはお前だったんだな!?」

『・・・あの場にわしとお主とあの蓮という奴以外、誰がおったんじゃ?』

あんまり猫がぺらぺらしゃべるので、ここが現実か夢か分からなくなってきた。

頬をつねってみると・・・「痛っ!」・・・やっぱり夢じゃない・・・。

『何やっとるんじゃ・・・』

猫に呆れ気味に言われて、ムッとした。

「なんだよ!大体、なんでしゃべれるんだよ?お前ただの黒猫だろ?」

僕がそうきくと、猫はニヤリ・・・という表現を使ったほうがいいだろう笑い方をした。
『ただの黒猫?このわしが?フン!ガキがぬかしおって』

いかにも偉そうに言うもんだから、ついつい反発して

「ガキじゃない!僕には千影って名前がちゃんとあるんだ!そんなに言うんだったら、お前の名前も教えろよ!」
そう言ってやった。

しかし黒猫はそれをきくと、嫌な笑い方をした。

『ガキめが!このわしに向かって命令をするなど、千年早いわ!そんなに知りたければ教えてやろう。わしの名はセスラ。前の主人につけられた名じゃ。そして、わしはこの世界の夜の支配者、猫又、ブラック卿と呼ばれておる』