「お前さ、自覚ねぇの?」

呆れたように言うが、僕には何のことやらさっぱりだ。

蓮いわく、僕の容姿は女子から見ると、「萌え」の要素満載だそうだが・・・。

はたしてそれがなんなのか、僕には分からない。

「まぁ、いいか。・・・だいぶ話がそれたな。で、猫飼ったことないって?」

話を戻されて、自分が抱えている猫を思い出した。

「あぁ、うん。この猫・・・すごく毛並みいいから、どこかで飼われてたんじゃないか
な?それもつい最近」
猫に首輪があるかも知れないと思って首元を見たが、何もなかった。

「飼われてたねぇ・・・。でもその猫、どうやらお前にべったりみたいだし・・・」

急に言葉を切って、こちらを見てニヤニヤする蓮を見て、

「・・・お前、まさか僕にこいつ飼えと言ってるか?」

「大正解!」

「大正解って・・・お前なぁ・・・」

『いいじゃろ。別に』

「いいわけないだろ。・・・ってあれ?」

突然聞こえた聞き覚えの無い、頭に直接響くような声

「おぉ。鳴いたな、こいつ」

蓮が嬉しそうに言った。

「この猫、しゃべったよ!?」

「・・・は?」

蓮はポカンとしてこちらを見ている。

「千影、ニャーはしゃべったとは言わねぇだろ」

蓮はそう言うと、大きな声でゲラゲラ笑い始めた。