『あれ?言ってませんでしたっけ?夜の仕事は、いつもコレを着て行うんですよ』

――・・・マジか・・・。

内心そんなことを思っていると、

『では、尻尾つけますよ』

「やっぱりそれ尻尾だったんだ」

見た目は月影のような黒猫の尻尾だ。

「それつけるとなんかあるの?大事そうにしてるけど」

・・・そう。

月影はこの尻尾だけは他の道具と違い、丁寧に袋で包み、箱に入れていた。

『これはですね、わたしとご主人が闇の支配者になるために必要不可欠なものです。この尻尾に慣れてきましたら、こっちの耳もありますんで』
月影はそう言うと、黒猫の耳的なものも見せてくれた。

――・・・まだあるんだ・・・。

自分に、なんのコスプレだよと突っ込みたくなって、苦笑した。

『では、つけますよ。尻尾』

「うん」

が、しかし。

尻尾が僕に触れたとたん、奇妙な感覚に襲われた。

血が騒ぐような・・・。

心臓の鼓動がいつもより早く感じる。

血が・・・熱い・・・。

「うぅっ・・・ぁ・・・!?」

自分の中に、何か大きな力を感じた。

しばらくすると、それはおさまった。

「はぁ・・・はぁ・・・。・・・何?今の・・・」