蓮が隣で熱心に何かを語っているときに、そう呟いてしまっていた。

「でさ~、あいつのそのときの顔が・・・千影?」

深刻そうな顔をしてしまっていたのだろう。

蓮がどうした?とたずねてきた。

「ん?・・・なんでもない。それで?」

聞いちゃいない話をうながす。

・・・蓮との付き合い・・・。

こんなもんじゃ無かったはずだったのに、これでいいんだろうか?

その日、学校が終わると、僕は蓮に

「今日は家の手伝いがあるから」

などと嘘をつき、一人で急いで家に向かった。

【千影宅にて】

「ただいまー」

『早かったな』

早速話しかけてきた。

一体どうしたというのだろう?

昨日まで、話しかけても「フン」と鼻を鳴らすだけで、何も話してくれなかったというのに・・・。
「で、何?」

『・・・我に・・・』

とても小さな声で、セスラが何かをぼそりとつぶやいた。

「え?」

『・・・我に名を・・・名をくれんか?』

・・・なにを言い出すんだ・・・?