「碧?」 優しく、綺麗な声が私を呼んだ。 「廉…」 傘を差し、ビニール袋を持った廉がそこに立っていた。 「泣いてんのか?」 「いや…転んじゃって…」 「…傘も差さないで風邪引くぞ!俺ん家この近くだから、傘でも貸してやっから来い!」 「…いいよ」 「グタグタ言ってねぇで来い!」 無理矢理、廉に立たされた。 廉の持つ、傘へ入り、歩いた。 家に着く間、廉は何も聞かずに、ただ静かに歩いていた。