「慧だ!」 女子の甘い声は男の方に向けられていた。 「可愛い。」 男子の甘い声は女の方に向けられていた。 「三草慧(サエグサケイ)です。」 "あの"慧だった。 背は高くなって、大人っぽくなっているけど2年前の面影はあった。 「葛木桃華(カツラキモモカ)です。」 葛木は栗色のふんわりした髪がよく生える透明な肌がフランス人形に見えた。 廉がチラッとこっちを見たのに気づいた。気付かないフリをするのが精一杯だ。