俺が大人になった冬

「なんだよ? どうしたの?」

彼女の態度は明らかにおかしかった。はじめて表参道で待ち合わせたときのように、オドオドしている。

「とりあえず座んなよ。ちゃんと聞くから……」

彼女をクッションの上に座らせ俺も彼女の斜め横に腰を下ろし、再び彼女の顔を覗き込むように見て

「で?」

と、話を再開した。ところが、彼女は小さな声で「うん」と言ったきり、口を噤んで一向に開こうとしない。

謝りに来たと言いながらハッキリしない彼女の態度に少しイラッとした俺は、気分を変えるように

「じゃあさ、とりあえずカレー食ってから話せばいいじゃん」

と、言いながら机に手を掛け腰を浮かそうとしたが、それは彼女の「ごめんなさい」という声によって止められた。