「寒っ……」

12月の気温ですっかり冷え切ったマンションの部屋は、彼女と一緒に過ごすときの温い物とは違う場所のようで。

壁も床も、ヒヤッと冷たくて。

どこかよそよそしくて。

急にこの部屋からも拒絶されているような気がして、もの凄い孤独を感じた。

ポケットからケータイを、出して開いてみる。

時刻表示は『16:15』彼女に電話をできる時間ではない。

電話のリダイヤル履歴は、彼女の名前ばかり。

彼女はもう、俺と会う気はないのかもしれない……

「……寒(さみ)ぃよ」

不意に、隠していた『寂しがりで弱い自分』が顔を出す。

胸がギュッと締め付けられ、鼻の奥にツンとしたものが走るのを感じた。