「撮りたい!」 「ダメ」 俺は妙に明るく振る舞っていた。 会うのはこれで最後にしたいと、昨日、彼女に言われたからだ。 最後の朝を涙で終わらせるのは嫌だった。 沈黙が恐くて必死に会話を探して、どうでもいい話をしたり、おかしなことを言って彼女を笑わせたり。 彼女も俺と同じ気持ちだったのか、妙に楽しそうで。 別れがやってくるなんて、思えないくらいだった。