「君、いい奴だな。ありがとう。頑張るよ!」

男は嬉しそうに俺の両手をギュッと握り、力強くそう言ってニッコリと笑った。

男のテンションの高さにイマイチ付いていけなかったが、ちょっとひきつりながら俺も一応笑う。

俺とすごい勢いで握手をしながら、男は急に「あっ」と小さく声を漏らした。どうやらエスカレーターの方に誰かを見つけたような感じだった。

「ごめん。行かなくちゃ。悪いね。なんか、勝手に盛り上がっちゃって」

「いえ」

「じゃあ」

男はそう言い、小走りで去って行った。