俺が大人になった冬

明日は昼には家を出なければならないから、彼女が早めに来てくれることになっている。

彼女が来たら少し遅めの朝メシを一緒に食べよう。

お揃いのカップで、彼女がお気に入りのパンを一緒に食べながら、美味しそうにパンを食べる彼女の姿をじっと眺める。

食事が終わったら、学校に行くまでのあいだ、また彼女を抱き締めたり、キスをしたりして、まったりと過ごそう。

そんなふうに明日を思い描くだけで胸が高鳴る。

幸せで満たされる。

彼女に気持ちを受け入れてもらっただけなのに、ありふれた毎日の景色も、鮮やかでキラキラと輝いているように感じる。見るもの、感じること全てを彼女と結び付けてしまう。

服を見れば彼女に似合うかと考え、美味しそうなものを見れば彼女と一緒に食べるところを想像し、花を見れば彼女にあげたいと思い、きれいな空や変わった形の雲を見ると彼女も見ているかなと考えてしまう。

このときの俺は、全て彼女を中心に回っていた。