俺が大人になった冬

カップを買った後は、雑貨店の近くにあるデパートに向かった。

彼女好きでよく食べているという、地下にあるパン屋の『ボストック(ブリオッシュの上にアーモンドクリームを乗せて焼いたものらしい)』というパンを買ってみたかったのと、家に帰る口実作りにおもちゃかなにかを買う予定だったからだ。

まずパンを買いに地下におりた。

彼女の言っていたパンを探しながら、この店で彼女がパンを買っているところを想像する。

普段彼女が来ている場所だと思うだけで心が弾む。

今、こうしているあいだに彼女がパンを買いに来て、俺の顔を見て驚く。なんてことになったら面白い。そんなふうに考えながら楽しい気持ちになり、またつい笑ってしまう。

ボストックを発見! 残り2つ!

危ねぇ。もう少しで買いそびれるところだった。

急いで残りの2つをトレーに乗せる。それ以外にもクロワッサンなど何種類かのパンを買った。