今でもたまに、夜中電話が鳴るとドキリとする。

『交通事故だなんて、残された子供達はどうするんだろうねぇ。親戚もいないんじゃねぇ。京平くん、まだ高校生よ。働くって言っても…千夏ちゃんも来年は高校生になるし、二人だけでやってけないわよ』

両親の葬儀を終えて、少し外の空気を吸おうと外へ出た千夏は表の通りで話す島のおばさんたちの話を聞く羽目になってしまった。

千夏は門に隠れてしゃがみ込んでじっとする。

足元には小さな蟻が列を作って歩いていた。

『京平くんのところへ行く途中での事故でしょう。京平くん、大分まいってるみたいじゃないの』

『そりゃそうよ。確かにあれは事故でしかないけど、やっぱり多少は自分のせいだって、どうしても思っちゃうもんよ』

『…可哀相にねぇ』