例えば、
両親が三年前に死んだりしなければ、
こんなことにはならなかったかもしれない。

両親が千夏の誰にも言えない感情を抑制する役割を果たしていてくれた。

両親がいるということがブレーキになっていた。

じゃあ、
そのブレーキが壊れてしまったら?

恐ろしくて考えたくもないことだけれど。

でもそれは、現実に起こってしまった。

だから必死で新しいブレーキを千夏は必要とした。
探した。

それが音楽だったり、男だったり。

けれどそれももう限界に近づいていた。