どこもかしこも鉄筋コンクリートで作られた背の高いビルが立ち並んだ路地を、
京平は一枚のメモを片手に歩いた。

人通りも交通量も、沖縄とはくらべものにならず、
自分の居場所を簡単に見失ってしまえる場所だと思った。

京平の手の中のメモには東京の小さなライヴハウスの名前と住所が記されていた。

夜だというのにこんなにも明るい場所は不自然で、
京平は何となく落ち着かない。

ここには真っ青な海も、
真っ白な砂浜も、
宝石箱をひっくり返したような満天の星空も存在していなかった。

京平は迷いに迷ってようやく一軒のライヴハウスにたどり着いた。

地下へと続く階段を下り、たくさんの貼紙でびっしり埋められた扉を開いた瞬間、爆音が鳴り響いた。