小学生の頃、
京平を好きだと言っていた女の子の悪口を散々京平に吹き込んだ。

中学の頃、
京平と仲の良かった先輩の家の前に咲いていた花を踏み潰した。

そうやって京平に近づく女が現れるたび千夏は醜くなっていった。

「なあ、触ってもいいか?」

庭先でひなたぼっこをしていると、
洗濯物を干し終えた京平が千夏の隣に来て言った。

「えっ、な、」

答える暇もなく、
京平の手が伸びて千夏のお腹に触れた。

「おー。すげぇ!見た目あんまわかんねーけど大きくなってんだな!」

感動したように京平は暖かくて大きな掌で千夏の膨らんだ腹部を撫でた。

千夏は動けず、
ただただ京平の掌から目が離せなかった。

どうしよう、
心臓の音が京平に聞こえてしまう。

「いるんだなー。ここに」

自分の子でもないのに京平は心底嬉しそうだった。

「き、京平っ!」

京平の顔が千夏の腹部にくっつく勢いで近づいてきたので、たまらず千夏は叫んでいた。

京平が顔をあげる。

「あ、あのさっ、」

「ん?」

「病院!そうだ、明日病院行ってくる!」