千夏たちを乗せた車は都内の高級料亭へとやってきた。

個室となった畳の部屋にカメラマンとマネージャー、慎太郎に千夏の四人がテーブルを囲むことになった。

店について30分も経過していないとゆうのに、空のビール瓶がテーブルの上に並び、すっかり出来上がったカメラマンとマネージャーは二人で下ネタ満載の話題に華を咲かせていた。

そんな二人をムカつきながら眺めている千夏の隣では慎太郎が黙々と運ばれてくる料理に舌鼓を打っていた。

美味しそうに料理を口に運ぶ慎太郎を千夏は横目で観察する。

「あんたさぁ…一体なんなわけ?京平とどういう関係?」

どうせ目の前の酔っ払い二人は千夏たちの会話など聞いちゃいないだろう、と判断し、千夏は京平の名を口にした。

料理に夢中になっていた慎太郎が顔をあげ、
口の中のものをごくりと飲み下す。

少し間を開けて慎太郎は
「京平の彼女の弟?」
と言った。

思いきり心臓を握り潰されたみたいな感覚に千夏は息をすることさえ困難になった。